石綿アスベスト事前調査報告書について
事前調査報告書の構成例(1):
□ 事前調査詳細表
□ 調査状況写真帳 整合性の確認表 (ワークシート)
□ 分析試料採取位置図
□ 分析試料一覧表 (分析依頼表)
□ 石綿分析結果報告書・分析結果一覧表
□ 添付資料 (判断根拠)
□ 調査資格者証コピー
石綿アスベストの事前調査報告書は、表紙、調査結果概要、現地調査総括票、現地調査個票・写真集、石綿分析結果報告書、その他の添付資料で構成されます。
事前調査報告書構成例 (2):
□ 現地調査総括票(表題部) 現地調査総括票(1)
□ 現地調査総括票(次頁) 現地調査総括票(2)
□ 石綿分析結果報告書 (分析機関にて作成された報告書です。)その他の添付資料 (必要に応じて作成します。)
その他の調査結果報告書(下記の、主に木造戸建て住宅用チェックリストがあります)
現場の作業者の方は調査内容が分かりやすいかも。 また危険箇所も分かりやすいかも。
作業者の石綿ばく露防止のため、石綿含有建材はスプレーでマークなどして危険箇所を作業者の方たちに周知徹底すべきですね。
□ 一般家屋解体前の石綿(アスベスト)チェックリスト (必要な解体現場にコピーを渡します)
事前調査の具体的な流れについて
下記マニュアルの抜粋「図-6 事前調査の具体的流れ」のフローチャートを参照していただくと良く分かると思います。
参照:平成30年3月 厚生労働省 石綿飛散漏洩防止徹底マニュアル[2.20版]23頁より抜粋
石綿事前調査、やってみよう コーナー
このコーナーでは、トイレ3ヶ所の改修工事の事前調査の例としご説明いたします。 あくまでも私の調査方法になりますので、こうでなくてはいけないというものではありません。 石綿則第3条7項1号から10号の法令に基づいた調査報告書であれば問題ありません。
発注者に石綿の有無と危険度、その建材の存在場所など分かりやすく調査報告書として作成することが、作業者の安全と危険な石綿を飛散させないことにつながるとの信念のもと、中立で正確な調査が大事なことだと思います。
1) まず、必要な調査項目を考えて調査詳細表を作成しましょう。
石綿建材の施行面積は、事業者による発注者への書面による説明が必要です。 調査者は事業者とその作業分担について打合せ事前確認が必要です。
2) 書面調査 必要な設計図書 建物の概要や使用建材が分かるものを借用しましょう。 わからない場合は、役所調査(建築指導課)などで建物の概要や着工日(台帳の確認申請済日)を確認します。 改修・増築工事などの履歴についてヒアリングを行います。 設計図書の借用ができなければ、時間と費用が余計にかかります。たいへんですが、建築確認申請書や消防署などへの申請書類等がないかなど、客先に事前調査への協力をお願いして、今一度図面等の確認をしてください。
3) 動線計画 調査モレがないように番号で管理します。そのために平面図を用いて調査対象の全ての部屋や空間ごとに番号付けをします。 今回はトイレ3ヶ所を番号付けしました。
サンプル調査部屋番号簡易平面図(動線計画・図面がない場合)
4) 調査動線計画に基づき、調査対象全ての建材の整合性を目視確認、打診棒を使用し建材の違いを確認します。 裏面情報から石綿含有の有無が判定できます。 天井ふところ内から得られた裏面情報をデーターベースを活用して、不燃番号とメーカー名から検索に上がれば含有です。 検索に上がらない場合はメーカーに連絡して石綿未使用証明証をもらってください。 石綿が含有していないという証拠になります。 また、写真は証拠になります。 照明を考えたりホワイトボードを使用したりして分かりやすい調査状況写真をたくさん撮るようにしましょう。
石綿含有建材データーベース 建材名など入力して検索をしてみてください。
5) 目視調査で石綿含有建材かどうか不明な場合は、建材を採取して分析により石綿の含有の有無を判定します。 別途、建材の取り外しによる裏面確認が可能な場合は、データーベースを利用して、前述の通り含有判定をしてください。 また、石綿が含有するとして「みなし」判定を行うことも有効です。 事業者・発注者と、どのように判定を行うか打合せを行い、その判定結果を調査詳細書に記入してください。
事前調査においては、「建材に石綿が含有して無い」ということを証明することが大切です。 また、調査者は石綿が無いと判断する場合は、その無いという根拠を明確にすることが重要になります。 明確な根拠もなしに、石綿があるのに無いと判断すると、作業者が石綿にばく露し、危険な石綿が周囲に飛散してしまいます。 そのようなことがないように、我々調査者は充分な注意を払って、正確な調査を行うよう自覚したいと思います、
それでは、前述の事前調査結果報告書の構成例をご参考に、事前調査結果報告書をまとめ上げてください。
ご覧いただき有難うございました。 お疲れさまでした。
石綿アスベスト事前調査の結果に基づく届出書類について
大気汚染防止法及び各地方自治体の条例等によって、事前調査の結果、次のような届け出書類が必要になります。石綿有無に係わる事前調査書、特定粉じん排出作業の概要、測定計画書、詳細票、標識及び完了報告書などです。 各地方自治体・担当窓口等の届出書類様式に基づき、届出書類を作成をして、届け出をします。また、解体工事等の現場に事前調査結果及び工事のお知らせ標識の掲示を行い、工事完了後に完了報告を行うことになります。
事前調査に基づく届出様式例: (大気汚染防止法及び各地方自治体の条例により異なります。)
□ 特定粉じん排出等作業実施届出書 (※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成。)
□ 特定粉じん排出等作業の方法 (※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成。)
□ 石綿使用の有無に係わる事前調査書面 (受注者が発注者に書面で報告したことを証明する書面)
□ 特定粉じん排出等作業(石綿排出等)の概要 (※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成。)
□ 大気中の石綿濃度測定計画 (※特定建築材料に該当する排出作業の場合に作成。)
参考:平成29年5月31日 環境省 水・大気環境局通達 石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策について
※ 現在、レベル3は、レベル1、2の届出の必要はありませんが、条例によっては届出等が必要とされますので、各自治体にご確認ください。
□ 標識 事前調査の結果の標識
□ 標識 建築物等の解体等の作業に関するお知らせ掲示 (次の標識についての補足をご覧ください。)
規模及び石綿の有無にかかわらず、すべての解体等工事で石綿アスベストの事前調査、調査結果の説明・掲示が必要です。
※ 解体等工事とは、建設物や工作物の解体、改修、補修作業を伴う建設工事のことを言います。
石綿アスベスト事前調査・結果の説明・標識等についての補足
1. 事前調査
石綿に係わる関係法令(大気汚染防止法、労働安全衛生法、石綿障害予防規則、建設リサイクル法)により、解体等工事を行う場合、受注者(元請け業者)又は自主施工者は、事前に石綿の有無を調査することが、義務づけされています。 但し、平成18年9月1日以後に工事に着手した建築物等は除きます
2. 事前調査結果の説明
受注者(元請け業者)は、事前調査の結果について、工事開始前までに、発注者に書面で説明を行う必要があります。
また、特定建築材料レベル1、レベル2が使用されている建築物の解体等工事を行う場合、発注者は、作業開始の14日前までに、都道府県等の担当窓口に作業計画の届け出をしなくてはなりません。(大気汚染防止法)
3. 電子システムによる報告
一定規模・金額以上の解体等工事を受けられる元請業者は、別途電子システムによる報告が必要になります。
4. 事前調査結果の掲示
受注者(元請け業者)自主施工者は、事前調査の結果等について、工事の場所において公衆に見えやすいように掲示する必要があります。 事前調査の結果の標識を(アスベストの有無にかかわらず、届出不要の場合でも)掲示する必要があります。
※ 厚生労働省通達に基づく建築物等の解体等の作業に関するお知らせ掲示は、大気汚染防止法等の規定が遵守されていれば、これらの掲示と兼ねることは差支えないとされています。
5. 周辺住民の方への周知
参考周知文例: 石綿除去工事のお知らせ PDF
6. 作業現場での事前調査結果の掲示
現場の作業者に、石綿の使用箇所が分かるように事前調査の結果の詳細票コピーを掲示します。
参考掲示例: 様式例 事前調査結果の詳細票